平成22年の折伏成果(仮題)


【平成23年元旦勤行の砌】
―御法主 日如上人ご指南―
―平成23年1月1日 於 総本山客殿―

(『大白法』H23.1.16)

(前略)  宗門は、昨年、「広布前進の年」の指針のもと、全国的に折伏の気運が高まり、過半数を大きく上回る434支部が折伏誓願を達成し、平成27年・33年の目標へ向けて大きく前進することができました。この数は全体の74.32パーセントに当たり、約4分の3の支部が誓願を達成したことになります。
 なかでも、岐阜布教区を皮切りに、愛知東布教区・北近畿布教区・山口布教区・青森布教区・熊本布教区・静岡西布教区・大阪南布教区・南九州布教区・岩手布教区・新潟布教区・宮城布教区の12の布教区では、管内すべての支部が誓願を達成し、見事、完全勝利することができました。
 また、海外においては台湾の本興院、同じく法秀院・正行院・本照院・妙行院、韓国のソウル布教所、同じく釜山布教所、シンガポール開妙院、ガーナ法華寺、アメリカのロサンゼルス妙法寺、同じくニューヨーク妙説寺、スペイン妙昌寺、アルゼンチン布教所、香港事務所、カナダのバンクーバー布教所、このほか、いまだ信徒組織のみで寺院あるいは布教所は建立されておりませんが、驚異的な大成果を挙げたインドをはじめ、スリランカ、ドイツ、スイス、セルビア等の多くの国々で誓願を達成しております。
 これもひとえに、国内外の各支部の指導教師をはじめ講頭・幹部ならびに講員御一同が真剣に折伏に取り組み、身軽法重・死身弘法の御聖訓を奉戴し、あらゆる難関を乗り越え、戦ってきた結果であり、皆様の御健闘をたたえ、心から敬意を表するものであります。まことにおめでとうございました。
 本年も「実践行動の年」にふさわしく、師子奮迅の勢いをもって大活躍されますよう願うものであります。
 さて、本年「実践行動の年」の「実践」とは、辞書によれば「実際に履行すること。一般に人間が何かを行動によって実行すること。」とあります。
 また「行動」とは「ある事を行うこと。しわざ。おこない。」とあります。
 いずれも広義において、人間の振る舞い・行為を指しますが、我々本宗僧俗にとって、何を「実践行動」するのか、また、その目的とは何かと言えば、折伏をもって一天四海本因妙広宣流布を達成することであり、近くは平成27年・33年の目標を全支部が達成することであります。
 法華経薬王菩薩本事品第23を拝しますると、
 「我が滅度の後、後の五百歳の中に、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむること無けん」(法華経539頁)
とあります。
 また『法華初心成仏抄』には、
 「薬王品には『後五百歳の中に閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん』と説き給ひ、天台大師は『後五百歳遠く妙道に沾(うるお)はん』と釈し、妙楽大師は『且(しばら)く大教の流行(るぎょう)すべき時に拠(よ)る』と釈して、後五百歳の間に法華経弘まりて、其の後は閻浮提の内に絶え失せる事有るべからずと見えたり」(御書1312頁)
と仰せであります。
 すなわち、経文をはじめ天台、妙楽の解釈には、末法において広宣流布は必ず達成すると説かれております。しかし、我々の努力なしでは広宣流布を達成することはできません。
 我々本宗の僧俗1人ひとりが御金言のままに自行化他の信心に励み、広布達成の断固たる信念を持ち、異体同心して「実践行動」を起こし、すなわち折伏を行じて、初めて広宣流布も、また来たるべき平成27年・33年の目標も達成することができるのであります。(以下略)


【2月度広布唱題会の砌】
―御法主 日如上人ご指南―
―平成23年2月6日 於 総本山客殿―

(『大白法』H23.2.16)

 皆さん、おはようございます。
 本日は、総本山における2月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
 再三申し上げていることでありますが、宗門は昨年、国内外ともに折伏の気運が高まり、大きな成果を挙げて、平成27年・33年へ向けて大きく前進することができました。
 これもひとえに、指導教師をはじめ御信徒各位が心を1つにして、あらゆる難関を乗り越え、戦ってきた結果であり、心から御健闘を祝すものであります。どうぞ本年「実践行動の年」もこの勢いをもってさらに精進を重ね、すべての支部が必ず誓願を達成されますよう、心からお祈りいたします。
 さて、御承知のとおり、今月は宗祖日蓮大聖人御誕生の月であります。
 大聖人は、貞応元(1222)年2月16日、法華経に予証せられたとおり、外用上行菩薩、内証久遠元初自受用身の御本仏として末法に御出現あそばされましたが、その目的は、法華経本門寿量品文底秘沈の大法をもって、末法本末有善の一切衆生をしてことごとく仏道に入らしめ、即身成仏せしめるためであります。
 この御本仏大聖人の一切衆生救済の願業を今に引き継ぎ、その目的達成のために、身軽法重・死身弘法の御聖訓のままに、身を挺して御奉公に励んでいくところに、今日、本宗僧俗の最も大事な使命があると存ずるものであります。
 すなわち、謗法の害毒によって苦悩にあえぐ多くの人々に、一切衆生救済の秘法たる本因下種の妙法を下種し、折伏していくことが、使命にお応えする最善の方途であります。
 法華経法師品を拝しますと、滅後の弘教について「衣座室の三軌」が説かれております。すなわち、
 「如来の室に入り、如来の衣を著、如来の座に坐して、爾(しか)して』乃(いま)し四衆の為に広く斯(こ)の経を説くべし」(法華経329頁)
とあります。
 「如来の室に入り」とは大慈悲の心を起こすことであります。「如来の衣を著」とは柔和忍辱の衣を着ることであります。「如来の座に坐す」とは、『御義口伝』には、
 「座とは不惜身命の修行なれば空座に居するなり」(御書1750頁)
と仰せであります。
 つまり、柔和忍辱の衣を着て、不自惜身命の境地に立ち、慈悲の心をもって弘通せよと仰せられているのであります。
 たしかに、現代は折伏の方法も千差万別、種々の方法がありますが、基本的にはこの「衣座室の三軌」を心得て折伏することが大事ではないかと思います。
 さらに、それに加えて大事なことは、1人ひとりが大聖人の弟子檀那として、
 「千万人と雖(いえど)も吾(わ)れ往かん」
との、断固たる決意をもって折伏に立ち上がることであります。
 今、宗門は折伏の気運がおおいに高まり、僧俗一致しての取り組みによって、昨年は国内外ともに大きな成果を挙げることができました。
 そのなかでも特筆すべきことは、インドであります。海外部からの報告によりますと、昨年、インドのムンバイ地方では約1千2百人の方が御授戒をお受けになりました。その活動のもとになったのは、わずか3人からの折伏であります。
 1人は御婦人で、元マレーシア人でありますが、30年前に日本に帰化し、10年前に入信し、今はインドのムンバイにある旅行会社を経営しています。
 もう1人は、この方の兄に当たる方で、今はインドに帰化して、ムンバイに住んでおります。この方が一昨年、心臓病を患い緊急手術をいたしました。医者によると99パーセント命が助からないとのことでありましたが、前々から妹さんより折伏を受けており、お題目をあげ始めたのであります。その結果、手術も無事成功し、大きな功徳をいただいたのであります。そしてその後、一念発起して、妹さんと、あと1人のインド人の方と3人で折伏に立ち上がったのであります。
 3人目の方はインドの方で、ムンバイ地方の一粒種的存在でありましたが、活動する同志もなく、1人信心を続けていましたが、今、申し上げたように、この御兄妹と出会い、力を合わせ、3人で折伏活動を開始したのであります。その結果、驚くことなかれ、昨年は約千2百人の方々が御授戒を受けられたのであります。まさに驚異的な数字であります。
 さらに今般、現地から海外部に電話があり、「現在、6百名の方が御授戒を待っています。いつ御授戒に来てくれますか」と言ってきたということであります。
 わずか3人から始めた折伏も、3人が心を合わせ、身軽法重・死身弘法の御聖訓のままに、何も恐るることなく、本気で折伏を実践していけば、折伏の輪は波状的に広がり、かくの如く、千2百人もの人を入信させることができるのであります。まさに、折伏は「本気になってやればできる」という証しであります。
 「為さざるなり。能わざるに非ざるなり」
という言葉があります。物事を実現できないのは、それが不可能だからではなく、やろうとしないからであるという意味であります。
 つまり、いくら能力があっても実行力や意思が足りなければ、物事は成就しないのであります。反対に、人はやる気になり、自信を持つと、能力以上の力を発揮するものであります。折伏も全く同じであります。
 言い換えれば、大御本尊様への絶対の確信と、やればできるという何ものにも挫(くじ)けない堅忍不抜の強固なる意志と自信、飽くことなき努力をもってすれば、折伏は必ず達成成就できることを、このインドの3人の方々は証明しているのであります。
 したがって、もし折伏が思うようにできないという方がいらっしゃったら、自分で自分自身に限界の枠を設けず、「為せば成る」との信念を持って、このインドの方々の強盛なる信心を見習い、手本として、心機一転、折伏を行じていただきたいと思います。そうすれば折伏は必ずできます。
 さらに付言すれば、そのためにも折伏に当たっては、まずしっかりと唱題をすることであります。唱題の功徳は計り知れないものがあります。1人でも多くの人を折伏せずにはいられないという強い慈悲の一念をはじめ、折伏に必要なあらゆる力が身に具わります。また、自信もつきます。唱題の功徳と歓喜をもって折伏に打って出ることが、達成成就の秘訣であります。
 事実、昨年、誓願を達成した支部は僧俗一致して唱題を行い、歓喜に燃えて折伏に打って出て成果を挙げています。
 どうぞ皆様には、インドの方々に勝るとも劣らない強盛なる信心と実践行動をもって、本年「実践行動の年」にふさわしく折伏を行じ、もって誓願を必ず達成されますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。